第6章 2nd Night 【ルカ・クレメンス】※R-18
「そのためなら……」
ルカは躊躇いがちに尋ねる。
「……その…俺に抱かれてもいいって、こと?」
レイアの顔がさっと赤くなる。
「ルカだけじゃなくて…これから先のこと、全て不安でたまらない」
レイアの曖昧な笑みがルカの胸をぎゅっと締めつける。
「これから先、誰と、どんなふうに過ごさなくてはならないのか…それで自分はどう変わってしまうのか…元の世界にちゃんと還れるのか…そして」
「そして?」
「私は私でなくなったりしないのか」
「……え」
「………それが、本当は一番怖い」
レイアの目が伏せられる。
「昨日の私、一昨日の私、そして今の私……どんどん違う人になっていってしまうみたいで、それが一番怖い」
「……」
ルカは黙って耳を傾けている。
「最初は何も知らずにいた私が…自分の中に在った感情や感覚が、どんどん湧きあがって…コントロールの効かない瞬間が恐ろしくてたまらない」
そう言い終えた瞬間
がたん、と音を立ててルカが立ちあがった。
「あなたは…」
突然のことに驚いて、レイアは顔を見上げる。
「…あなたはあなただ……どんなに知らない新しい自分が目覚めても…あなたはあなた」
ルカがテーブル越しにレイアの頬をそっと指で拭う。
そうされて初めて、涙がこぼれていたことにレイアは気付いた。
涙を拭うとルカはふっと笑みをこぼす。
「俺は…どんなみにくいあなたでも…受け入れる」
「え……」
「…あなたのことを…今日はたくさん教えてほしい。そして…」
ルカは顔を染めて目を逸らす。
「……俺のことも…あなたには、知って…ほしい」
その言葉にレイアの顔が真っ赤になる。
「ル、ルカ…えっと……」
目を泳がせるレイアの手を
ルカはテーブル越しに取る。
「え……っ」
戸惑うレイアを一瞬見やると
ルカは、白く細いレイアの指をそのまま口に含んだ。
「……ぁ…っ」
予想外のルカの行動と今まで受けたことのない仕打ちに
レイアはどうしていいか分からず固まってしまう。
ルカはくわえこんだレイアの指を
伏せ目がちにしながら、丁寧に優しく舌を這わせていく。
「…ぁ…ルカ…っ」