第5章 DAY2 黒の兵舎
フェンリルの投下した『爆弾』に
その場のメンバー全員が凍りつく。
特にルカは真っ赤になりながら固まっている。
「……あれ、もしかして童て……」
「ちょっとーーー!!それ何か関係あるのぉー?!ルカの経験人数なんてアタシ聞きたくないわ!確かめたいけど聞きたくないっ!」
「おい、セスどっちだ」
シリウスが苦笑して答える。
「やーよぉ!ルカが女性を抱いているところなんて想像できないししたくないものぉー!!」
「あ?何言ってんだセス、ルカは今晩…」
「やーーーん!それも聞きたくなぁーいぃー!!」
セスは崩壊しかかっている。
「で、ルカ」
レイが呼び声が響き、ルカがびくんっと肩を震わす。
レイのエメラルドグリーンの瞳がルカに向けられる。
「……今日、行けるか」
ルカは盛大に眉根を寄せながら、大きなため息を一つついて、黙って首を縦に振った。
レイは口角を上げ、頷く。
「……フェンリル、いろいろ情報流してやれ」
レイは立ち上がりその場を去ろうとする。
そしてフェンリルの横を通り過ぎざまにお互いにハイタッチを交わした。
「おう、任せろよ、相棒!」
フェンリルは暗い表情のルカにウィンクをひとつした。
「ルカ、とりあえずレイアは甘いものが好きだ」
「……えっ」
他のメンバーがいなくなった談話室。
フェンリルとルカだけが、膝を突き合わせて座っている。
「お前にレシピを聞きたい、とも言ってた」
「………」
ルカは感情の読めない顔で黙りこんでいる。
「お前…レイアみたいなのあんまタイプじゃないのか?」
ルカはその言葉に顔を赤くする。
「……タイプとか、タイプじゃないとかじゃなくて」
「あのなー、ルカ」
フェンリルは頭を抱えて呆れ気味に言う。
「あいつは知らないところに来て、いきなり初日に処女喪失してんだよ。しかもブランだぞ?その時点でとんでもなくかわいそうだと思わねーか?」
「…それは……かわいそう」
「……で、お前は男だよな?」
「……うん」
ルカのまっすぐな目は男らしかった。
フェンリルは口角を上げる。
「…じゃあ、どうすればいいかわかるよな」
「……」
「お前らしく、レイアに優しくしてやれよ」