第37章 London days【ヨナ・クレメンス】※R-18
Jonah side--------
二人はパークを出た後、マルシェで買い物をして帰宅した。
一緒に食材を切って、ポトフを作って、一緒に食べた。
乾いた洗濯物を畳んで、お風呂に入り
一緒にベッドに入った。
軍の職務が無い毎日は
あまりにやることが少なすぎる。
ただ、その一つ一つが
レイアと一緒で
ゆっくりだけれど、そこにはいつも
笑ったり、驚いたり、拗ねたり
いろんな顔を見せてくれるレイアがいて
クレイドルに戻ったら
…もちろん仕事が待ってはいるけれど
それでも、自分が帰る場所に彼女が待っている毎日が
ずっとずっと続いていって
(なんて幸せなんだろう)
ベッドの中で隣り合いながら、指を絡め合い
ヨナはこれから先のことを想像していた。
「今日、楽しかったね」
瞳にお互いの顔が映りこむ距離で、レイアは言った。
「そうだね。何でも一緒にやるのは、悪くないね」
レイアの金髪を撫でながらヨナは答えた。
「まるで、ヨナのお嫁さんになったみたい」
「え…?」
「……あ…」
うっかり口を滑らせたような気まずそうな顔をしてレイアは目を泳がせる。
「ご、ごめん……」
「何で謝るのさ」
「だって……お嫁さんだなんて…つい」
「……そう思うことになぜ君が謝るの」
するとレイアはばつの悪そうな顔をして少し言いにくそうにしながら答えた。
「ヨナは…クレメンス家の長男だから……きっと結婚となると、話は別なのかなって。私は…違う世界から来た人間だし……その…ヨナのお嫁さんに相応しいかって言われると」
「何寝ぼけたこと言ってるの」
つないだ手に力がこもる。
「この俺が君を選んでるんだよ?家は関係ない。確かに……簡単に認めてはもらえないだろうけれど、その問題は必ず解消する」
レイアの瞳には涙が浮かんでいた。
ヨナは目じりに唇を寄せて、涙をすくう。
「どんなに時間がかかっても、たとえ認めてもらえなくても、俺は君を選ぶよ」
「ヨ、ヨナ……」
そのまま唇を重ねる。
つないだ手を一度ほどき、背中に回す。
抱き寄せ、お互いの体温を交換するように触れ合う。
自然と口付けが深まる。
「ん……」
顔を上げると、レイアの頬に涙が伝っていた。