第36章 After few months【再会】
あふれる涙が、ヨナのピンク色のシャツにどんどん染み込んでいく。
しかし、抱きしめる腕のぬくもりが、涙を余計誘う。
「いつまで泣いてるつもり?」
「……だって……ヨナ……がっ……」
ヨナの手が、優しく何度もレイアの頭を撫でる。
「……どうして……ここに……」
「君がいつまでたっても戻って来ないからだよ」
「だって………私…ヨナのこと……傷つけちゃう……」
するとヨナのすらりとした指がレイアの顎を捉えた。
「君に傷つけられて折れるほど俺はヤワじゃないし、それに」
覗きこむ琥珀色の瞳に火花が散ってきらめく。
「君は俺が世界で唯一認めた女性だよ。二度も言わせないでくれる?」
「………っ」
ヨナが柔らかく微笑む。
「……君のいない世界では、もう1秒たりとも生きていたくないんだ。俺と生きる覚悟、できるよね?」
「ヨナっ!」
レイアはヨナの首に腕を絡めて自分から唇を重ねた。
「………っ…」
ヨナの肩が僅かに揺れ、抱きしめる腕の力が強まる。
(もう……我慢できない……)
ヨナを求める気持ちに歯止めがかからない。
深まる口づけに互いの舌が何度も絡み、離れていた時間と距離を埋めようとする。
(簡単に埋まるはずないけど……)
求めることをやめられない。
「……んんっ……ヨ、ヨナ……っ」
「……ん、何…?」
唇を離し、レイアがヨナを見つめる。
「クレイドルに戻らなくて大丈夫なの?早くしないと穴が消えちゃうよ?」
するとヨナはふっと笑いながらレイアの頭をぽんと撫でる。
「このまま行ったら君はまたこっちの世界に別れの挨拶ができないだろ?大丈夫。次の満月で一緒に帰ろう」
「えっ?!それで本当に大丈夫なの?」
「この俺が大丈夫って言ってるんだから素直に信じなよ……それに」
ヨナの瞳が艶っぽさを増し、頬が赤く染まる。
「8ヶ月も君のことお預け食らってたんだ………もう我慢できないよ?」
「ヨ、ヨナ……っ」
「君の家はどこ?早く連れて行ってくれないと外で君を抱くことになるよ?」
その言葉に、レイアは顔を真っ赤にする。
「やだ!駄目だよそんなの!こ、こっち…!!」
ヨナの腕を引っ張りながら小走りになるレイアを、愛おしげにヨナは見つめながら後をついていった。