第36章 After few months【再会】
「鈍くなんか…!兄様、お前の気持ちくらい…」
「だから!!」
ルカはもう半分泣きそうだ。
「あんたは…鈍すぎなんだよ、自分自身の気持ちに…!!!」
そう言って思い切りヨナを突き飛ばす。
「どうして自分以外の誰かのために……父様や母様、俺、ランスロットを……傷つけないようにして、自分を傷つけるんだよ?!いい加減にしなよ!!」
怒りに満ちた瞳と、悲しげな瞳が交差する。
「もうやめてよそういうの………もっと迷惑かけて、嫌われなよ……」
ルカは俯いて絞り出すように告げる。
ヨナはゆっくりと、ルカの前に歩み寄る。
「………お前はやっぱり、兄様がいないと泣き虫だな」
「………っ!」
言い返そうと、キッと見上げたルカは
目線の先に涙を浮かべるヨナを見つけて目を見開いた。
「泣き虫のお前の言う通りだなんて…認めるのも腹立たしいけど」
そう言ってかすかに微笑む。
そして長いため息を一つつくと、空を見上げる。
「………警備の仕事をサボったらマズイからね、行くよ」
そう言って、先を歩き始めた。
ルカはヨナの背中を黙って見つめた。
少しだけ大きくなったように感じる兄の背を見ながら、ルカも一歩踏み出した。