第36章 After few months【再会】
子どもたちが囲む中心から、ぬっ、と金髪の長身が突然姿を現す。
「ねーキングもっかいやって!!」
「………」
ランスロットと思しきその人物は、子どもたちから渡されたものを受け取ると、黙って頭に乗せた。
「わー!かわいいーー」
「わーいわーい!うさちゃんだ!金のうさちゃん!」
子どもたちから渡されたのはうさぎの耳を模した帽子だった。
「ねぇ……レイ…美しき獣が……」
「………ああ。美しきウサギになってんな…」
「……俺、赤のキングの見方変わったかも」
ランスロットには一ミリの笑顔もなかったが、苛立ちや怒りも見えず、ただただ子どもたちの言いなりになっている貴重な姿がそこにはあった。
レイは少しだけその様子を見守ってからランスロットに声をかけることにした。
「なんで俺が…あんたと………」
ルカは納得のいかない表情でなるべくヨナを視界に入れないように歩いている。
「いーじゃないかたまには!ルカが早く兄様のところに帰ってくれば何の問題もないじゃないか」
「やだ。無理」
かぶり気味の返事にもヨナはへこたれない。
「いつまで反抗期続ける気なんだ…黒の野蛮な連中と一緒にいるからいつまでたってもひねくれたままなんだよ……」
「ひねくれてるのはどっちだよ」
先を歩くルカが一度だけヨナを振り返る。
「兄様は少しもひねくれてないだろう」
「ひねくれすぎてブレブレだよ……そんなんだからレイアに愛想尽かされるんだ」
その言葉にヨナの足が止まった。
「………」
「何度も迎えに行くチャンスがあったのに行かない理由は何なの?どこまでプライドが高いの?」
ルカは振り返り、立ち止まって黙り込むヨナに対峙する。
「ルカ、お前にはまだわからな……」
「分かるよ。あんたは責務だの立場だのを言い訳にして逃げてるだけだ」
ヨナから深いため息が漏れる。
「ルカ……だからこれは兄様の問題……」
「昔っからそういうところが!!」
ルカの琥珀色の瞳が火花を散らすように怒りできらめく。
「そういうところがだいっ嫌いなんだよ!!なんでまだ分からないんだ!!どうしてそんなに鈍いんだよあんたは!!」
ルカはヨナの胸倉に掴みかかる。