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【イケメン革命】月小屋へようこそ【R-18】

第36章 After few months【再会】



名前を呼ばれてふと気づくと、両親はいなくなり紹介された女性だけがそこに佇んでいた。


「あの……申し訳ありません……両親がどうしても、と無理にセッティングを進めてしまいまして……お気に触りましたか……?」

控えめで消えそうな声で彼女は告げる。


「じゃあ…君は望んでここにいるわけじゃないんだね」

冷たく言い放つヨナに女性は顔色を変える。

「いえ!決してそのようなことは…!」

「俺はどうでもいい女性と会話をするような無駄な時間を持ち合わせていないんだ。悪いけど失礼するよ」

「あ、あの……!」


何かを言いかける彼女に背を向け、ヨナは歩き出した。


「父様、僕はそろそろ仕事がありますので失礼させて頂きます」

「何、ヨナ!今日の主役はお前………」

他の親類貴族と談笑する父の背に一言だけ言い放ち、ヨナは颯爽とその場を去る。



ガーデンから公会堂へ降りると、一気に静かになる。



クレメンス家の長男として
跡取りとして
赤のクイーンとして


名に恥じぬ行いを



幼い頃から
何度も何度も何度も言われ続けてきた。


ヨナにかけられた「呪い」


跡を継いだ今も
こうして顔を合わせる度に

その宿命を思い出させられる。



ヨナは長いため息をついた後
ポケットにしまいこんでいたレイアのリボンを取り出した。


(これがあれば)


このリボンを持っていれば、満月の夜に「科学の国」へ行くことは可能なのだという。



しかし
行ったら次の満月まで戻れない。



約一ヶ月、クイーンの座を空白にすれば
何が起きるか分からない。

休戦協定が結ばれてるとはいえ
それを期に黒の軍が攻めてこない保証もないし
アモンも依然行方不明のままだ。


(しかし……)


ランスロットの言葉が思い出される。


「何をしてでも手に入れろ」


あれは間違いなくレイアのことを言っていた。


(でも……彼女が来ないということは………)


もう本当は俺に会いたくないんだろうか。


恋人が……できたのだろうか。




数日前の満月の日
誰も現れることのなかったガーデンに一人佇んでいた自分の惨めさは
もう思い出したくもなかった。


ヨナは再びリボンをポケットにしまい込み、公会堂を後にした。

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