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【イケメン革命】月小屋へようこそ【R-18】

第35章 Last 2days【別れ】




満月の夜。



初めてクレイドルに落ちてきた日から1ヶ月経った。

とてつもなく長かったような、瞬く間だったような、不思議な感覚だ。

私がここで体験したことは
本来ならきっと

心に深い傷を残し
身体にも傷を残すような

そんなことだったのだろう。


それでも、関わってきた全ての人を嫌いにならずにいられるのは
彼らが本当に自分のことを大切にしてくれたからだ。


優しく、楽しく、素敵な人たちだった。



「君の顔が…とても穏やかで良かったよ」

日が沈みかけるガーデン。
隣でそう言うのはブランさんだ。

「初めて君に会った時…かわいらしく美しいと思ったよ。そしてこれから先の宿命を呪った…。それでも君は…けがれずに美しいままでいてくれている」

ブランさんは穏やかな笑みをたたえながら、そっと頬をなでてくれる。


「……ヨナとは、兵舎でお別れしたのかい?」

一人でガーデンにやってきたレイアに、ブランは尋ねる。

「あ……はい」

嘘をついた。



ヨナには結局会っていない。


赤の兵舎、みんなの部屋に顔を出して挨拶をしていったが、ヨナは結局最後まで捕まらなかった。


カイルは半ば苛立ちながら探そうとしてくれたけど、自分でそれを止めた。


(仕方ない、よね……)



そうこうしているうちに完全に日が落ち、月明かりが照らし始めた。


ガーデンの片隅に月明かりが差し込み、ぽっかりと穴が現れる。



「ブランさん、いろいろとありがとうございました」


「いや、お礼を言うのは僕の方だ……君に会えて良かった。本当にありが……」


「……?」


ブランさんが途中で言葉を止める。


するとふっとため息をついて、ポケットから懐中時計を出した。


「……レイア、すまない。僕は急ぎの用を思い出してしまったよ。悪いけど、ここで失礼するよ?」


「えっ………あ…はい……」


ブランはめがねの奥でにっこり笑うと、さっと背を向けて歩き出していった。


(……ど、どうしたのかな…)


穴に飛び込むところまで見送ってくれてもいいのに…。



暗がりに消えるブランの背中を見送ると

レイアの近くの茂みが急にガサガサッと音を立てた。



「………っ?!」

(誰かいるの…)



恐る恐るレイアが音のする方を覗き込むと。

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