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【イケメン革命】月小屋へようこそ【R-18】

第35章 Last 2days【別れ】



「赤のクイーンを選んでおきながら他の男に抱かれてくるなんて、いい度胸してるね」


「ヨ、ヨナ…」


「君の住む科学の国はこういうのが常識なの?」


「ち、ちが……」


レイアの目から涙がこぼれそうになる。


「泣いたって許さないよ。赤のクイーンに対する最大の侮辱だよ」


感情の無いヨナの顔を見て、レイアの涙が溢れ出した。



ヨナが傷ついているのが手に取るように分かる。



表情を消して、赤のクイーン、赤のクイーン…と、「ヨナ」の気持ちにふたをして。



傷つけ、その悲しみを表に出すことも自分に許可できない状況に追い込んだのは


………私だ。他でもない私なんだ。


(私が泣いちゃダメなのに…泣く権利なんて……)


ないのに。




私は

目の前の大好きな人が素直に泣ける場所にすらなれない。




「……やっぱり君を行かせるんじゃなかった」



ヨナはわずかに眉根を寄せると、視線をそらし顎を捉えていた手を離した。


「……あ…」

そのまま背を向けると、扉の方へ向かう。



「……落ち着いたら自分の部屋に戻りなよ。俺は訓練があるから」


一度も振り返ることなく、ヨナは出て行ってしまう。




ヨナのいなくなった部屋に取り残されたレイアは
零れ落ちる涙をぬぐうことなくそのまま俯いていた。













夕刻。


自室に戻ったレイアの元へ訪れた人物がいた。

「よーぉ、気分どうだ?」

「カイル」


カイルは部屋に入るなりレイアの額に手を押し当て、顎の下を触って診察をする。


「酒、抜けたか?」

にやりと笑いながらの問いかけにレイアは応えることができない。


「まぁ二日酔いってのはしんどいもんだよなー、俺はよくわかるぞ?」


「…二日酔いは、大丈夫」


「ん、そか」


カイルは頭をぽん、と撫でると、ソファに掛けるレイアの隣に座る。


「じゃあその顔色の悪さは…ヨナとの喧嘩のせいか?」

「……っ」

「図星みてーだな」


意地悪な笑いを浮かべるカイルだったが、レイアは俯いたままその笑みにつられることはなかった。


「私が悪いの…ヨナを傷つけたから」

「でも黒の兵舎に外出許可出したのはアイツだろ?」



「そうだけど……私…」

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