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【イケメン革命】月小屋へようこそ【R-18】

第32章 last 4d【黒への招待】



ひとしきりネコ溜まりでのひとときを堪能した後、二人は少し歩いて公会堂前の噴水広場にやってきた。

噴水の縁に並んで腰掛け空を仰ぐと、西の空が少しだけオレンジ色に染まり始めていた。

人通りは少し減り、家路を急ぐ人や仕事を終えた人たちが行き交う。


「お前さ」

おもむろに口を開いたのはレイの方だった。


「元の世界に…帰んの?」

「………うん」

レイの横顔を伺い見ても、感情までは読めなかった。

「ふーん……でも、赤のクイーンに惚れてるんだろ?」

「そ、それは………」

直球の問いにレイアは赤面して俯いた。


「………私、こっちの世界で生きていきたいから…元の世界にけじめつけてきたいの」

「そういうことか…」

その時、レイが僅かに身じろいだ。

(えっ?)

さり気なく、レイの手がレイアの手に重ねられる。



「……あのさ…俺たちんトコに来ない…??」



「…………えっ……?!」



レイからの突然の提案にレイアは驚き目を見開いた。


「月小屋の主人のルールは次の満月までだ。その後アリスが……つまりお前が元の世界に戻った後そのルールは適用されない」


「レイ……それは………」


僅かに憂いをにじませたレイアに、レイは重ねた手に力を込める。


「勘違いすんなよ……」

真剣で真っ直ぐなエメラルドグリーンの瞳がレイアを射抜くように見つめた。

「お前の『力』が欲しいとか、黒の軍が赤の軍と戦うためにとか、そういうんじゃねーから…」

するとすぐに視線は逸らされ、レイの頬が僅かに染まったように見えた。

「……単に…俺らみんな、お前と一緒に居たいんだと、思う」

そう告げられて、ルカやセス、フェンリル、そしてシリウスの顔が思い浮かべられる。

「レイも………そう思ってくれてるの?」

その言葉にレイは視線を逸したまま答える。

「まぁ……そうだな…」

ためらいがちな長い息を吐いてレイが続ける。


「お前と過ごした時間……悪くなかったと思ってる。もちろん…『月小屋での夜』も含めて……」


再び向けられたレイの視線は柔らかかった。


「お前が誰を好きでも……俺はお前のこと、手元に置いときてーんだけど…?」


「レ、レイ…!」


レイアが顔を真っ赤に染めたその時だった。

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