第31章 few days later【ロキ・ジェネッタ】※R-18
その日の正午すぎ。
黒の兵舎に、赤の軍の伝令が届いた。
「おい、レイ!赤の軍から伝令だぞー」
受け取ったフェンリルは、レイの執務室に入って言った。
「あぁ、わりぃ」
レイは受け取り、封書を開ける。
「なんだろうなー?」
フェンリルは横から覗き込み、レイとほぼ同時に読み進めた。
「……っ」
「……っ」
二人は同時に息を呑んで顔を見合わせる。
「………フェンリル」
「おう」
「……緊急会議だ、全員談話室集合」
「OK!相棒…!」
二人は口角を上げ部屋を出る。
執務室の机には、レイアの訪問を知らせる女性らしい柔らかな筆跡の手紙が残されていた。
「……というわけで、明日レイアが来る。お前ら、作戦の概要把握したよな?」
レイが全員を見渡す。
「もちろんよ、ボス!つまり……レイアちゃんを丁重にもてなして、楽しませて、居心地よくさせて、あわよくばお泊りさせちゃって…そのまま満月の夜まで滞在させちゃおうってことでしょ??」
「ざっくり言えば正解」
セスの答えにレイがニヤリと笑む。
「………最高の料理で、骨抜きにする」
ルカがひっそりと決意を固める。
「しかしこれがまた両軍の争いの火種になりゃしねえか?」
「大丈夫…そこまで悪意を持った行為はするつもりねーから」
「それが通じる相手か……あの性悪美人」
シリウスが案じていると、フェンリルが口を挟む。
「そこはよ、シリウスが赤のキングに手紙書いてうまいことやればいーんじゃねえの?」
「一理あるわね…あの性悪美人はキングには逆らえないもの」
セスも深々頷いた。
「なるほどな……じゃあランスに一筆書くことにする」
「そうと決まればアタシは部屋をデコレーションするわよっ!さ、準備準備っ!!」
レイはこくりと頷く。
「よし…思いっきりもてなすか…!」
黒の幹部たちは一斉に散った。