第31章 few days later【ロキ・ジェネッタ】※R-18
「レイアも半分は黒の軍に世話になっていたんだ…満月の夜に帰るとしたら残り少ない期間、共に過ごすチャンスがあってもいいと思うが…」
ゼロの意見はもっともだった。
「お、俺が束縛してるとでも言いたいの?!」
「束縛じゃなかったら何なんですか?」
エドガーは微笑みを絶やさずに言う。
「立派な愛情表現だよ!」
恥ずかしがることなく言い放つヨナに、ゼロの方が顔を赤らめた。
「重たい表現は時として急速に愛が冷める結果につながることもありますからねぇ…レイアさんが満月より前にヨナさんに三行半突きつける可能性が高くなるなぁ」
エドガーの優しき毒舌に、ヨナは眉根を寄せ考え込んでしまった。
「…………」
その時だった。
「あ、いた…ヨナ!起こしてくれたら良かったのに」
「レイア!」
心の中でずっと考えていた人物の声が急にしたので、ヨナは目を見開きびくんと肩を揺らした。
「………どうかした?」
「い、いや……なんでもないよ…その」
するとエドガーが振り返ってにこやかに応対する。
「おはようございます、レイアさん。今、ヨナさんは貴方を束縛しすぎなのでそろそろ嫌われますよ、と話していたところです」
「えぇっ?!」
レイアは、ヨナのバツの悪そうな顔と目を合わせる。
「レイアが…黒の軍の幹部に会いたがってるのではと思案していたところだ」
ヨナの代わりにゼロが付け加える。
「あ……そういうこと……」
「残り5日……君は……俺のそばを離れたいの?」
「離れたいなんて思ってないよ。でも……黒の軍のみんなに会いたい気持ちもあるかな」
ヨナはその言葉にぱっと目を見開くと、肩を落としてうなだれた。
「…えっ………だ、ダメだったかな…今の」
「ヨナさん、肩を落としすぎです」
エドガーはけらけらと笑う。
「それはそうと…」
切り出したのはゼロだった。
「…満月の夜、レイアはどうするつもりか決めたのか?」
………レイアはそのことについて明言を避けており、ヨナも知るのが怖いせいで聞くことができずにいたのだった。
ゼロのその言葉に、レイアとヨナはぱっと目を合わせたものの、お互い所在なげに視線をそらし黙ってしまうのだった。