第30章 13th morning 2nd【収束】
「はい、現物はこれだよー」
オッドアイのロキが皆の前でかざしたのは、妖しげな紫色の光を帯びた魔宝石だった。
まるで脈打つかのように、その光はゆるやかに点滅している。
「……これが公会堂のあちこちに設置されているってことか」
シリウスが興味深そうにのぞきこむ。
「この点滅の感じからして、今すぐドッカーンって感じでもなさそうね?」
「セス、知ってんのかこれ」
「え?知らないわよ。でもなんとなく今すぐっていうともっと点滅が早くなりそうじゃない?」
セスは意味深な笑みを見せる。
「……とにかく、作戦はこうだ。…魔宝石はその特性上、無効化の力を浴びせることで魔力そのものを失わせることができる。つまり……ここにいる、俺とロキ以外は…皆持っている力…のはずだよな」
「………」
一同はそれぞれ複雑な表情を浮かべている。
「俺とロキの魔法で少しの間時間を止める。その間に一気に全員でこの公会堂とガーデン…全てを捜索し時限式魔宝石を無効化し回収する」
「その『時間を止める』ってどれくらいの間できるの?」
ヨナが訝しげに尋ねた。
「……そーだねぇ?2人で頑張れば…5,6分はいけるかなぁ、ハール」
「……そうだな。5分、と考えてくれたら助かる」
「……OK。じゃあ全員で場所、急いで割り振ってくぞ」
レイが全員の顔を見渡した。
「レイア…お前も力貸してくれるか」
「もちろんだよ。そのためにここにいるんだから」
「ん……頼む、な」
レイを中心に作戦会議が始まった。
ランスロットが魔法の塔に戻った時
状況は以前こう着していた。
とはいえ、アモンの部下たちは全て地に倒れており、残すはアモンのみとなっていた。
「……また戻ってくるとはヒマな男だな。それとももう公会堂は消えてなくなっていたか」
「くだらないおしゃべりしている余裕がお前にあるのか」
エドガーを守りながら戦うゼロ、それを援護するフェンリルの方に目をやり、ランスロットは言い放った。
「ゼロ、エドガーをカイルの元へ連れてやれ。黒のエース…引き続き2人の援護を頼めるか」
「おう、戻るついでだ、任せろよ」
エドガーを抱えたゼロを追うようにフェンリルはその場を去っていった。