第30章 13th morning 2nd【収束】
「……じゃあ、この公会堂のあちこちに時限式の魔宝石が仕掛けてあって、いつ爆発するかも何個設置してあるかもわからねーってわけ?」
レイの言葉にランスロットは頷いた。
光に包まれガーデンに降り立った直後のランスロットは、息を切らせ青ざめていたが、今はいつもの冷静な表情に戻っている。
「…では今すぐこの公会堂をしらみつぶしに探しましょう!我が主」
ヨナは身を乗り出しながら訴える。
「ヨナ…落ち着け。いつ爆発するかわからないのだ…慎重に対処せねばならん」
「しかし、こうしている今にも爆発の可能性が…!」
ランスロットは眉根を寄せる。
「……エドガーたちも気がかりだ。黒のエースが加勢してくれたが…あの場所はアモンの手の中も同然。それに、あやつと決着をつけなければならないのはこの俺だ」
「……そう抱え込むな、ランス」
ランスロットの言葉を制したのは先ほど到着したシリウスだった。
「ここがこうして狙われている以上、もう赤の軍だけの問題じゃない。これは黒の軍も…いや、クレイドル全体の問題だ。お前一人で解決しようとするな」
「……その通りだ、ランス」
その時、別の方向から声が聞こえた。
「……!!お前は……」
フードを目深にかぶった男と、オッドアイの青年がそこに居た。
「…ハール」
シリウスがフードの男の名を呼ぶ。
「ここは任せろ、ランス。お前は魔法の塔へ行って確実にアモンを止めてきてくれ」
「………」
ランスロットはハールの目をじっと見つめた。
ハールは静かにその瞳に答えるように見つめ返す。
シリウスも同じように見つめている。
「……俺に一つ、策がある。行け、ランス。ここは大丈夫だ」
視線を通い合わせると、ランスロットは僅かにうなづきマントを翻した。
「……ヨナ」
「はい、ランスロット様」
「……ハールの作戦、俺の代わりに全面協力してやってくれるか」
「……ランスロット様……!」
ランスロットは少しだけ口角を上げてみせる。
「お前にしか頼めん。必ず戻る」
「……わかりました」
ヨナはわずかに目頭をうるませ、光の中に消える主を見送った。
「……さて」
ハールの仮面が僅かに光る。
「作戦を説明しよう」