第29章 13th Morning【ヨナ・クレメンス】※R-18
カイルがヨナにそっと耳打ちすると、ヨナは顔を真っ赤にした。
「ちょっとカイルそんなこと俺に出来るわけがっ…!!」
「あ?お前赤のクイーンだろ?出来ないことあるのかよ」
カイルの笑みは意地悪だ。
ヨナは困った顔をしながら、横たわるレイアを見た。
(レイア……)
「……このままだと正直命の保証はできねー。レイアが飲まされた薬はおそらく魔法が掛けられてる…この魔法をとかない限り症状がおさまりそうにねーんだ」
カイルの真面目な声色にヨナは視線を戻して頷いた。
「……わかったよ。…レイアのことが終わるまで、ここを頼む」
「おー任せとけ。俺は喧嘩はできねーけどな」
「そんなこと知ってるよ!」
ヨナは横たわるレイアを毛布にくるまったまま抱き上げた。
「……ヨナ…」
「レイア……安心して。俺がついてるから」
「なぁ、黒の幹部さんたちよー」
カイルがレイたちに声をかける。
「ちょっとレイアの容態がよくねーから、公会堂の一室に運ぶからなー」
「……大丈夫なの…?」
ルカが不安げに、ヨナに抱えられたレイアを見つめる。
「ああ、ただここは一応外だからな…うちのクイーンをつけるから大丈夫だろ」
「あら、医者がそばにいなくていいワケ?」
「俺しかいなかったら万が一奇襲に会った時あっさり攫われちまうからなー」
カイルはヨナに視線を送る。
「容態急変したらソッコーで教えろなー?」
わざとらしい言葉にヨナは黙ってうなづいた。
腕の中のレイアは異様なほど火照っている。
(レイア……ごめん、こんなところで……)
ヨナは心の中で呟きながら、公会堂へつながる扉へと向かっていった。
毛布越しに伝わってくるヨナの体温を感じると
レイアの身体は更に火照りを増していくようだった。
(どうしよう…ヨナに触れてるところが……)
たまらなく熱い。
「レイア、大丈夫?」
覗き込むヨナの、琥珀色の瞳がきらきらしていて、そのきらめきが更に胸を高鳴らせる。
「ヨナ…あの…私……」
「……カイルから聞いた」
顔を赤くしたヨナは目を逸らして公会堂の一室に入った。
そして扉に鍵をかけた。