第28章 13th Dawn 真意
ガーデンに到着してから
保っていた意識が途切れ途切れになる。
完全に無くなることはないが
みんなの声は遠くに感じるし
誰が何を話しているかも
正直はっきりとは分からない。
一度、レイが顔を覗き込んでくれた。
レイの顔を見たら、少しだけほっとした。
近くにルカの気配も感じて…
ヨナの叫び声も聞こえたっけ…。
遠のきそうになる意識と裏腹に
身体はずっとたぎるように熱い。
疼くような熱が
お腹の底…下腹部のあたりからずっと感じる。
カイルが毛布で包んでくれたのに
それを剥いでしまいたいくらい熱い。
時折覗き込んで髪をかきあげるように顔を撫でてくれるカイルは
私の身体に何が起きているのかを薄々分かっているようでもあった。
「……大丈夫か、レイア」
黙ってうなづくと、カイルは困ったような笑みを浮かべる。
「今すぐ楽にしてやりてーが……耐えられるならもう少し耐えろ」
「……ん…」
私はそのまま目を閉じ、疼く身体の熱に耐えながらじっと横たわっていた。
あれからどれほどの時間が経ったのだろうか。
それを推し量ることもできないほど、エドガーは余裕を無くしていた。
「そろそろ限界のようだな、赤のジャック」
レイアから貰った魔法を防ぐ力を使いながらアモンの剣を受け止める。
慣れない戦法のせいか、ひどく神経を使う。
おまけにアモンの魔法で操られた数人の魔法学者が時折エドガーに襲いかかる。
「……っ…久々に……やりがいのある、仕事です」
乱れた呼吸のまま途切れ途切れにエドガーは答えた。
腕や足には、無数の小さな傷がつき、純白の軍服には自らの深紅の血が滲んでいた。
(…レイアさんが無事で……いてくれれば…あとは……)
我が主が必ず策をうってくれる。
クレイドルを、この男から守ってくれる。
(…時間稼ぎができれば……俺はどうなっても……)
「お前は……アリスを逃がしてそれで一件落着とでも思っているのか?」
アモンの瞳があやしく光る。
「……何…」
口元がふっと歪む。
「今ここで死ぬお前には関係ない」
(……しまった……っ)
間合いが詰められ、身体が動かない。
エドガーの懐に魔宝石がかざされた。