第27章 12th Midnight 拉致 ※R-18
「止めるなよ!」
「ヨナさん…そいつをいたぶるのは後…今はレイアさんを救うことが最優先です」
エドガーの言葉が、ヨナを狂気の淵から引きずり戻す。
「……っ」
エドガーが敵をなぎ倒す中、ヨナはレイアの手枷と足枷をサーベルで砕き、ジャケットを脱いで彼女を包んだ。
ぐったりして力を無くしているレイアを抱きかかえる。
「エドガー、いったん引く!レイアを安全な場所へ…!」
頷くエドガーと共に入ってきた扉の方へ向かおうとしたその時だった。
「逃がさん」
「…っ?!」
背後から赤い閃光が輝きだす。
とっさにエドガーが手をかざし、青い光が閃光を打ち消した。
「……アリスを置いてゆけ」
紫色のフードを被った男がゆっくりと姿を現した。
「お前が…黒幕か」
ヨナは忌々しげに吐き捨てた。
「ランスの犬共がここで何をしている…身の程をわきまえろ!」
「それはこっちのセリフだね…我が主を裏切り、その上愚弄するとは…っ!」
「笑わせてくれる……さぁ、どうするつもりだ。ここは我が城…お前たちはもう籠の中の鳥も同然…このまま逃げられるとでも思うなよ!!」
アモンの懐から煌めく刃がのぞく。
レイアを抱きかかえるヨナにアモンが斬りかかろうとした。
キーン!!
刃と刃がぶつかり合う音がする。
「ちょっと、俺のこと忘れてませんか?」
「ほう…いい度胸だな、赤のジャック」
「エドガー!」
エドガーは微笑みながら、眼光だけ光らせアモンと対峙する。
「ヨナさん、早くレイアさんを安全な場所へ」
「お前一人では無理だ!」
「俺は…無茶ぶりを受けるのは昔から慣れてますから…大丈夫ですよ…」
エドガーは振り向くことなく答える。
「エドガー……」
視線を落とすと、腕の中で朦朧とするレイアの姿がある。
かすかな体温がヨナの腕に伝わる。
「アリスの命を守ること」
(俺は…この命を守らなくては…)
「………必ず応援を送る!」
ヨナは腕の中のレイアをぎゅっと抱きしめ、入り口へと走った。
「逃がすか」
アモンが新たな魔宝石を出そうとするも、エドガーが応じる。
「なめないでくださいね…俺のこと」