• テキストサイズ

【イケメン革命】月小屋へようこそ【R-18】

第26章 12th Night【ヨナ・クレメンス】




月小屋に着くと、そこにはすでにヨナの馬がつながれていた。

馬車から降り立つと、セスはあたりを見回す。



「何かいつもと違うわね…」

「えっ……?」


「……気のせいかしらね?」


セスはすぐにレイアに向き直ると不安を払しょくするようににっこり笑った。


「さぁ?これで…当分アタシたちとはお別れよ?」


そして少し大げさに両手を広げると
レイアの身体をぎゅっと抱きしめた。


「っ…セスさん…っ」


「……つらいことがあったらいつでも逃げてらっしゃい?」


「……うん」


セスが抱擁から解放すると
レイアは月小屋の中へと入っていった。



月小屋に入ったレイアの姿を確認すると、セスはあたりを見回す。



「……何かしらね…」


しっくりこない呟きを残して、セスは馬車に乗り込みその場を後にした。















「……さすがですね、黒の10(テン)」


月小屋から少し離れた茂みから呟く人影。


「俺の気配を察したのか……それとも…」


エドガーは日が沈み星が出始めた夜空を仰いで呟く。


「……この、気味が悪いくらい静まった嫌な気配に気づいたのか……」


セスを乗せた馬車はもう姿が見えない。


「……もしくはその両方かな」


エドガーは自嘲を含んだ笑みを浮かべながら、腰元のサーベルから手を離すことなく呟いていた。












「……うーん」


もうすぐセントラル地区の市街地に到達するところで
セスは窓の外を眺めながら呻いた。


「やっぱ変」


目を細め、眉根を寄せる。


「おかしい。なんか森の空気がおかしすぎ」


(赤の軍の誰かがいたのは何となくわかったけど)


それ以外にも変な気配…妙に嫌な予感が働いた。



(いったん戻って誰か連れていくか…それとも単独でアタシが動くか…)



一番に優先すべきは。


「クレイドルの民の自由とアリスの身の安全」


レイの言葉が頭をよぎる。


(………)


セスは意を決して馬車の窓を開ける。


「ちょっとー!」


馬車を操る部下に声を掛ける。


「どんなクレーム貰ってもいいから死人が出ない程度に全速力で戻ってちょうだい?」


「……はっ、承知しましたっ!」


馬車は一気に加速し大きく揺れた。


/ 289ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp