第25章 DAY12 明日への思い
ルカと入れ替わりに出ていったレイは
廊下で待っていた「相棒」と肩を並べて歩いた。
「幹部全員集まった?」
「ばっちりだぜ、相棒」
「ルカは後から来るだろうから先に始める」
2人が談話室に入ると、ルカを除いた幹部が全員揃っていた。
「みんな、悪いな。明日以降の話をする」
全員が真剣な表情でレイの言葉にうなづく。
「今晩の『月小屋の宴』が最後で、明日の朝、両軍幹部はガーデンに集合する。そこでアリスから『最終的な、月小屋の主人』の指名がある」
レイは僅かに眉根を寄せた。
「ただ、今回魔法学者の『奇襲』が2度あった。目的ははっきりしないが、アリスの身が危険に晒された上ルカも負傷した…このまますんなりとこの儀式が終わるとは、俺はどうも思えない」
「ボス、アタシたちもそれは同感よ」
セスが真面目な顔で頷き同意の言葉を告げる。
「不確実なことが多いからこそ、今一度俺たちの目的をちゃんとここで確認したい」
レイはゆっくりと幹部全員の顔を見た。
「俺たちの目的は……クレイドルの民の自由を守ること」
シリウスが力強く頷く。
「そして…アリスを守り、無事元の世界に帰してやること」
フェンリルも頷く。
そこへ遅れてルカが姿を現した。
レイが目だけで合図すると、すぐさま駆け寄ってくる。
「なにがあってもこの二つは必ず守れ」
ルカがその言葉に頷く。
「……それが守れるなら、どれだけ暴れてもOK」
セスが満面の笑みで頷いた。
「やーん!なんだか興奮しちゃう」
「セス、ほどほどにな」
シリウスの声はセスには届いていないようだった。
「……ルカ、レイアの様子は」
「うん…食事とって、今また寝てる」
「今夜、大丈夫そうか?」
シリウスが心配そうに尋ねた。
「わからないけど…今日はレイアが自分で指名した相手だし……大丈夫だと思う」
ルカは少し寂しそうな顔をした。
「そうか…今日の護衛はセス、頼めるか」
「オッケー!もちろんよ」
「セス…無理させないで……」
「当たり前でしょ!そんなのわかってるわよ!」
皆はセスが嬉しそうな理由が分かっていた。
もしレイアが赤の軍につけば、
これが彼女と過ごせる最後のチャンスになるからだ。