第25章 DAY12 明日への思い
「レイアには魔法を弾く力がある。おそらく、ランスロットの魔法とお前の力が変に拮抗して副作用が出ているんじゃねえかな…」
「副作用…」
「大丈夫だ。安静にしていれば治る…たぶんそろそろ来るころだから…」
「え?何が?」
レイアが聞き返したのとほぼ同時に、部屋のドアがノックされた。
レイはにやっと笑う。
「やっぱりな…」
そう言ってレイは立ち上がる。
開いたドアから顔を覗かせた人物にレイアは思わず身を起こす。
「ル、ルカ!」
「大丈夫?レイア…」
「ルカこそ、大丈夫なの…?」
照れくさそうに頷くルカの右腕にはまだ包帯が巻かれている。
「少しでも食べれるなら…食べてほしい」
ルカはワゴンで食事を持ってきてくれた。
「ありがとう、ルカ…」
「……じゃあ俺は用事があるから、あと頼むな。ルカ」
レイはルカの肩をぽん、と叩いて入れ替わりに出ていった。
ルカが持ってきてくれたワゴンからは、ハーブティの香りとスープのいいにおいがする。
「スープとパン…それから…頭痛にいいっていうハーブのお茶、淹れてきた…」
「ルカ……」
「食べられる…?」
ベッドサイドに腰掛け、不安そうに覗きこむルカにレイアは頷いた。
その顔にルカもはにかむと、スープをひと匙すくってレイアの口元へ運んだ。
「えっ…」
レイアが頬を染める。
「い、いいよ…自分でできるから…」
「ダメ……病人だから…」
ルカは少し拗ねたように言う。
「でも…右腕、痛むでしょ?」
「大丈夫…あなたは気にしなくていいから」
「……で、でも…」
するとルカは差し出した匙を自分の方へ持っていく。
「そんなに嫌なら…口うつししちゃうよ…」
「えっ……!!」
慌てふためくレイアに、少し頬を染めながらルカが笑う。
「嘘……だからお願い」
「………」
観念したレイアが、恥ずかしそうに口を開ける。
ルカは嬉しそうにレイアの口へスープを運んだ。
「…あ……美味しい」
「そう…?……よかった」
(優しい顔のルカって、ヨナにそっくり)
レイアは目を細めながらそんなことを思った。