第24章 11th Night【ランスロット・キングスレー】※R-18
「……お久しぶりです、ランスロット様」
立ち上がりレイアは頭を下げた。
「そう固くなるな。楽にしていろ」
「はい…」
ランスロットはレイアの向かい側に座る。
「緊張しているのか」
「えっ……あ…その……」
レイアは顔を赤くしながら言い淀む。
「今朝の一件、お前は怪我しなかったのか」
「あ、はい…ルカとヨナのおかげで…」
「そうか…ならば良い。ヨナも喜ぶことだろう」
ランスロットがわずかに笑んだ。
「アリス、月小屋の主人の指名はもう考えているのか」
「えっ?」
虚を突かれたように目を見開いてレイアはランスロットを見た。
「…ヨナか」
その名前を聞いた途端、レイアの顔が真っ赤に染まる。
「図星のようだな」
「あの…ランスロット様」
「なんだ」
「ヨナを選んだ場合……両軍は戦わずに済みますか?」
「それは黒の軍次第だろうな」
レイアの顔色が陰る。
「あの…襲ってきた人たちは…一体」
「……魔法学者だ」
「なぜ魔法学者たちが私を襲おうとしたのでしょうか」
「赤の軍を支援するためだ」
「……!」
ランスロットはさらりと答えて、蠱惑的な笑みを浮かべた。
「魔法の塔の最高責任者・アモンと俺は手を組んでいる。我々は赤の軍が表を支配し、裏のパワーコントロールをアモンが行う、という密約を交わしている」
レイアの表情が固まっている。
「そのためには黒の軍には赤の軍の傘下に入ってもらう必要がある。
ヨナを選んだ時点で黒の軍が降伏するならば開戦はないだろう。
……とにかく、クレイドルの表の覇者はこの俺だ。黒のキングには黙って従ってもらう」
「そのために…ルカを負傷させたのだとしたら…」
レイアの瞳が強く光る。
「……フェアではないと思いますが」
「………ほう」
ランスロットは一瞬目を見開くと、面白そうに目を細めた。
「この俺に意見するとは大した女だな…アリス」
「……っ」
威圧的なランスロットの眼差しが、みるみるうちに深紅の輝きを見せる。
「……あ…っ」
次の瞬間、レイアの身体はふわりと宙に浮き、そのままベッドへと運ばれていった。
ランスロットがゆっくりと近づく。