第24章 11th Night【ランスロット・キングスレー】※R-18
ランスロットは、月小屋へ向かう前に
魔法の塔近くの森に、アモンを呼びだしていた。
人気のない森の中で
ランスロットとアモンが対峙する。
不気味な静けさが
二人を包む。
「一体どういうつもりだ、アモン」
「どうもこうもない…援護しているつもりだが?」
紫のフードの中で、アモンはくつくつと笑った。
「黒の軍はあの程度で暴れるほどバカではない…」
「しかし、最終的に開戦しても、幹部が負傷していた方が勝ちやすいのではないか?」
「赤の軍を侮るな…」
忌々しげな口調でランスロットは吐き捨てた。
「……いずれにせよ、アリスはヨナを指名するだろう。今の状態ならば、開戦せずともそのまま黒の軍は赤の傘下に大人しく入る。これ以上余計な煽りを入れないでもらいたい」
「ふふ……残念だなぁ。けっこう楽しかったんだが、仕方ない」
アモンはイエスともノーとも取れないような曖昧なひとり言をつぶやくと、そのまま森の奥に消えてしまった。
「………」
ランスロットは厳しい表情のまま
アモンの消えていった先を見据えていた。
ランスロットが月小屋に到着すると、黒の軍の馬がつながれており、小屋の中に明りがともっていた。
「入るぞ」
月小屋の扉を叩き、ランスロットは中へ入った。
「よう、ランス…遅かったな」
中から現れたのはシリウスだった。
「……なぜお前がいる」
「なぜって…お嬢ちゃんの護衛で来たんだが?」
ランスロットが奥へ視線をやると
ダイニングの椅子に座っていたレイアがぺこりと頭を下げた。
ランスロットはシリウスに視線を戻す。
「…お前のところのジャックの具合はどうだ」
「あぁ…命に別条はないが、全治1週間だそうだ」
「そうか…」
目を伏せたランスロットに、シリウスは肩をぽん、と叩いた。
「そっちのクイーンに助けてもらったみたいで…ありがとうな」
「礼には及ばん」
シリウスはふっと笑むと、振り返ってレイアに告げた。
「じゃあ…俺はそろそろ戻るからな。明日の朝、また迎えに来るからな」
「あ、ありがとう…シリウスさん…」
シリウスはそのままランスロットと入れ替わりで月小屋を出た。
「………」
ランスロットはレイアをまっすぐ見つめた。