第23章 DAY11 奇襲・2
ヨナの剣さばきは、まるで踊りを見ているかのようだった。
鮮やかで、美しく
人を斬っているとは思えない動きだった。
「ヨナ……」
馬上で手綱を握り締めながら
レイアはヨナの姿に完全に見入っていた。
そのため
背後から近づく敵の存在に気づくのが遅れてしまった。
「アリス、アリスを我が、手に…」
「っ!!」
どきりとしてレイアが振り返るも、既に赤い光が放たれる。
(だめ!間に合わない!!)
その瞬間、目の前に青白い盾が広がっていった。
「あっ!」
それと同時に、敵との間にヨナが入る。
「俺のレイアに触れないでよ…」
ヨナのサーベルに、敵が崩れる。
「…ヨナ?」
「大丈夫?レイア」
「うん…」
ふと後ろを振り返ると、ルカが少し苦しそうな顔でこちらに手をかざしていた。
(ルカが魔法を…)
弾いてくれたんだ。
あたりを見回すと敵はあと3人ほどになっていた。
「アリス、アリス…」
「…魔法でコントロールされてる」
ヨナは眉根を寄せて呟いた。
「仕方ない…」
再びヨナのサーベルが高く掲げられたその瞬間だった。
「あ……」
残った敵の懐が赤い閃光があふれ出した。
ルカが咄嗟に手をかざし再び青白い盾が広がる。
「きゃっ……!!」
魔宝石の閃光はこちらに向けられることなく
その場で爆発を起こした。
「…レイア!!」
爆風で身体が僅かに煽られる。
「あっ……」
レイアはバランスを崩し、馬から落ちそうになった。
「レイア!!」
地面に落ちそうになったレイアの身体を、咄嗟にヨナが抱きかかえる。
爆風がおさまり、土埃がおさまると
爆発の中心は何もなかった。
倒れていた敵の姿もない。
そこには、何も残っていなかった。
「……ルカっ!!」
ヨナはレイアを地面にそっと下ろすと、崩れかかっているルカの元へ駆け寄った。
「大丈夫か、ルカ!」
「……う、るさい…バカ兄貴…」
ルカは右手を負傷している。
他にも細かい傷があり、呼吸も少し乱れていた。
「…ルカ……!」
レイアもルカの元へ駆け寄った。