第19章 DAY9 奇襲
セスのかざした手からは
青白いシールドが現れ、向けられた魔宝石の力は
全て無効化された。
「…あら、マジで使えるのね」
セスは自らの手をまじまじと見つめて呟いた。
「……やはりアリスの力を得ているようだな…いいだろう、出直してやる」
黒いローブの男が言い終わるその瞬間、セスは一気に男たちと距離を詰めた。
「……っ」
一瞬の出来事に男たちは息を飲む。
「…あのなぁ、寝ぼけたこといってんじゃねーよ」
セスのカウンターパンチがローブの男の懐に入る。
「…うぐっ!!」
拳がぶつかる鈍い音と共に男は膝から崩れる。
「人んち土足で上がり込んで、喧嘩売って黙って帰るたぁ、どういうことだコラ」
くるりと身を翻し、後方に控えたもう一人にハイキックをぶち込む。
「ぐあっ!!」
男は吹き飛び壁に叩きつけられる。
「おのれ!!」
最後の一人はレイアの方へ走った。
「……っ!」
レイアは思わず息を飲む。
だがすぐにセスが男の背後に迫った。
「……至近戦で俺を出しぬけるわけ、ねーだろうがこのクズ」
「ひっ……」
いつの間にか出されたサバイバルナイフが、男の首筋にあてがわれ、頸動脈にひたっと触れる。
「このまま…お前の血液全部ここでぶちまけるか?」
「……っ!」
するとその後ろ…廊下の方から声が聞こえた。
「……セス!」
姿を現したのはレイだった。
レイは一瞬で状況を把握したのか
「セス、とりあえず全員地下牢。レイアの前だ、ナイフしまえ」
セスは残念そうな顔をすると
「もう、仕方ないわね…了解よ、ボス」
そう言って捕えていた男の首を手刀で叩き、意識を奪った。
セスはそのままキッチンの窓を開けると
中庭で訓練中の兵士たちを呼んだ。
「ちょっとー、変なの入って来ちゃったから運ぶの手伝ってくれるー?あと誰か幹部全員談話室に呼んでちょーだい?」
一連の出来事をただ茫然と見つめていたレイアに
レイが肩をぽん、と叩く。
はっとなって顔を上げると、レイが柔らかく笑った。
「怪我、してねえか」
「………あ…うん…」
返事を聞いてレイは力強くうなづいた。
「護衛つけるから部屋戻って」