第18章 8th Night【カイル・アッシュ】※R-18
顔を真っ赤にするレイアをよそに、カイルはだるそうに淡々と続ける。
「いやーこれ相当な不平等企画だよなー。沢山ヤればヤるほど有利になんだろ?…いや待てよ、無理強いしたら最終的に選ばれる可能性が下がるから……難しーんだな、案外」
「ちょ、ちょっと…カイル!」
「ん?あぁ、わりぃ」
カイルは自分の台詞を諌めるように苦笑すると
ふと真面目な顔になってレイアの顔を覗き込んだ。
(えっ……)
「……お前の知らないところで、いろんな奴の思惑がうごめいてっからなー。お前はそれに……惑わされんなよ」
「う……うん………」
「本当に信じられるモンだけ信じとけなー……俺とか」
「ぷっ……」
カイルの言葉に思わず吹き出してしまう。
「おい、医者信じねーってどういうことだー?」
「ううん、信じてるよ」
二人は目を見合わせて笑った。
「さて……」
カイルはふと真面目な顔に戻って続けた。
「俺は医者だし、喧嘩は弱え。魔法を弾く力は使うことねーんだけど…ランスに嘘ついてんのバレると面倒だからよ…ごめんなー」
「ううん、カイルが謝ることじゃないよ」
「ま……だからよ…これ」
そう言ってカイルはポケットから錠剤を一つ取りだした。
赤い色の艶めいた丸い錠剤だ。
「とりあえず、これ飲んどけ」
「えっ……」
錠剤はレイアの手に渡る。
「これ…何の薬?」
レイアは指でつまんで訝しげにその薬を見つめる。
「まぁ…今夜が精神的につらくならずにすむ薬…ってとこか。とりあえず人体に害はねぇから安心しろ」
「……う、うん」
レイアは少し躊躇いがあったが、
カイルを信じ、思い切って口に含んだ。
(あれ、甘い)
薬は口に入れたとたんに甘い味をふりまき
すっと溶けていった。
「この薬は効き目が早い。2,3分で効果が出てくるぞー」
「え…どんな効果?」
カイルはいたずらっぽくにやっと笑う。
「一言で言うなら…『ぶっ飛ぶ』薬だな」
「ぶ……ぶっ飛ぶって…」
レイアの顔が青ざめる。
「ぶっ飛べば記憶にほとんど残んねー。強い酒みたいなもんだ」
(…あれ……)
レイアの身体の奥が、妙な熱を帯び始めた。