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【イケメン革命】月小屋へようこそ【R-18】

第17章 DAY8 思惑



そう言いかけて、ヨナは無駄な抵抗をやめた。


「………」


二人は沈黙して見つめ合う。


それだけで、なぜかお互いがお互いの気持ちを理解できている、そんな空気が流れた。



「……レイアさーん」

後ろの方から、護衛の兵士の呼び声がした。


「……行かなきゃ」


「……うん、気をつけて」


ヨナが少し寂しげに、柔らかく笑う。


「俺に会えなくても泣かないでね」


「……ふふっ」


いつも一言何か言いたいヨナが、レイアには愛おしく思えた。














時を同じくして、セントラル地区にあるブランの家。

そこにはカイルが訪れていた。



「珍しいね、カイルと酒場以外で会うのは」


ブランはイチゴの香りがする紅茶を淹れてカイルに出した。


「あー、そうだな……おい、ブラン。この紅茶、酒は入ってねぇのか」


「おいヤブ医者。人を治す前に自分のアルコール依存症を早いところ治せ」


緑のシルクハットをかぶった帽子屋オリヴァーは今日も苛烈な言葉を浴びせかける。



「……まー、酒ナシでもいいんだけどよ、ちょっと聞きてえことがあってな」


カイルはだるそうな口調のまま続けた。


「月小屋の宴、アリスを抱くと魔法を弾く力がもらえるんだよな」


「そうだよ」


「それはどれくらいの効果があるんだ」


ブランはにこやかに焼き菓子をサーブしながら答える。


「そうだね…一度の『やりとり』で得られるエネルギーを1単位とすると、1単位は発動から24時間有効だよ」


「つまり発動後24時間で消失すんだな?」


「ええ、その通り」


カイルは出されたクッキーをぼりぼりかじりながら、明後日の方を見つめ思案する。


「……おい、もっとマシな食い方できないのか。このアル中ヤブ医者」


「………」


カイルの耳にはオリヴァーの毒舌は入ってこない。


ブランは紅茶を一口飲み、口を開いた。


「たとえば、一晩の間に複数回『やりとり』があった場合は、その数だけ得られる単位数が増えるよ」


「……てことは、2発やれば2単位か」


「おい!このエロヤブ医者!」


「そう、正解」


ブランは笑顔でうなづいた。


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