第7章 ハイズと豚野郎と犬
あれから場所を移動し、横になるハイズの体を丁寧にジェイクが拭き清めている。
胃からせり上がってくる吐き気にハイズは胃の中身を吐き出した
それはビシャビシャと臭くて汚かった。
尿や精液が胃液と混ざり異臭を放っている
ジェイクは気にせずにハイズの背中を擦り、口元を拭ってあげる
「大丈夫か?辛いか?」
優しく問いかけるジェイクを焦点の合わない目でぼんやりと見つめていた
そんな憔悴しきった姿にジェイクは言葉を詰まらせる
「っ!・・すまない!助けてやれなくて・・・ハニーだけにこんな事をさせてしまった」
俯いて泣きそうなジェイクにハイズはふぅ、と息を吐く
「いいんだよ」
ガサガサに嗄れている声は叫びすぎて喉を痛めたのだろう
「こんなもんさ、いいんだよ。僕の生き方はいつだってこんなもんさ」
悲観とも違う、諦めの言葉にジェイクは涙が溢れる
吊り上げられていた足はずいぶん時間が経ったにしても色が戻らない、壊死しているのかもしれない
お尻だって壊されて内臓も痛めた
歯も折れたのだろう、うずくように奥歯か痛む
こんなもんさ。
そう目を閉じたとき、ダレクがを背中にのせて部屋へ入ってきた
「あ、目が覚めたの?ここ私の部屋、分かる?」
目線をに向けると下着姿でなんだか汗ビッチョリかいてる
「あー、疲れた。一緒にお風呂入ろう?」
こんな僕を見てよく普通に言えるなと笑ってしまう
「ふっ・・歩けないよ・・足の感覚が無いんだ」
長時間吊るされていた事で足が壊れてしまった
そんな様子にジェイクは絶句する
「そんな・・っ!」
ジェイクは胸から込み上げる怒りと悲しみと吐き気に慟哭しそうになる。
「あ、大丈夫だよ。ドラきてー」
言いようもない絶望の中、妻に呼ばれた世界樹の皇はまるで犬のように馳せ参じ、の足元にかしずく
「ハニー治して?世界樹の皇なら出来るでしょ?」
え、そんな軽い感じで?
みんながハラハラ見守る中、ユグドラシルはパチンと指を鳴らす