第9章 地獄の終わり
シャンクスが現れたことで、戦争は急激に『終わり』へと近づいていった。
「“白ひげ”、“エース”──2人の弔いはおれ達に任せてもらう。戦いの映像は世に発信されていたんだ……!!これ以上、こいつらの死を晒すような真似はさせない!!」
その宣言に海軍元帥・センゴクも頷き、
「負傷者の手当を急げ……!! ──戦争は終わりだァ!!!」
──かくして、“大海賊時代”開幕以来最大の戦い、『マリンフォードでも頂上決戦』はここに幕を閉じ──歴史に深く刻まれることとなる。
「……リラ」
シャンクスが声をかけてきた。
「よくやったな。偉かった」
ポンポンと頭を撫でられる。と、おっと。とシャンクスが手を離した。シャンクスの手が少し凍っていた。
「あ……ごめんなさい」
「いやァ、いいんだ。それよかお前、──しばらく見ないうちにずいぶん雰囲気が変わったな」
シャンクスの顔が綻ぶ。
「……そう?」
「ああ、なんか柔らかくなったな」
「そっか……」
リラはふ、と息を漏らした。
「まぁ今はそんなこと話してる場合じゃねェか。白ひげとエースを──運ぼう」
「手伝うわ」
リラは率先して働いた。白ひげ海賊団のクルーから「無理しなくていい」と言われるくらいに。
でも──体を動かしていないと、どうしても考えてしまう。
エースに想いを打ち明けていれば、隠し事なんてしなければ。そんな後悔がグルグルと頭の中で回り、もう戻れなくなりそうで。