第9章 地獄の終わり
そして、ルフィ達を受け止めたロー達“ハートの海賊団”は海へ潜ろうとする。が──
「シャボンディじゃよく逃げてくれたねェ〜。“麦わらのルフィ”、“死の外科医”ロー」
黄猿が狙う。もうダメかと思われたその時──
「そこまでだァア〜〜〜〜〜!!!!」
誰かが叫んだ。
「!!?」
「海兵!?」
戦場が一瞬、しぃん……と静まり返った。
「もうやめましょうよ!!!もうこれ以上戦うの!!!やめましょうよ!!!」
あれは……「コビー君……!?」ガープの部隊で鍛えられていた海兵だ。
「命がも"ったいだいっ!!!!」
彼の顔は涙でボロボロだった。
「目的はもう果たしてるのに……!!!繊維のない海賊を追いかけ……!!やめられる戦いに欲をかいて……!!!今手当てすれば助かる兵士を見捨てて……!!!その上にまた犠牲者を増やすなんて、今から倒れていく兵士達は……!!!まるで!!!馬鹿じゃないですか!!?」
彼は赤犬にそう叫んだ。だが“絶対的な正義”を掲げる彼にそんなことが通じるはずもなく──
「……“数秒”……無駄にした……。正しくもない兵は海軍にゃいらん……!!!」
そう言ってマグマの拳を振り上げる。
「コビー君!!!」
リラはほとんど反射で飛び出した。だが背中がずきりと痛み、その場にうずくまる。
「く……っ」
間に合わない──!その時だった。誰かが赤犬の拳を止めた。
「……よくやった、若い海兵……。お前が命をかけて生み出した“勇気ある数秒”は……良くか悪くか、たった今世界の運命を大きく変えた!!」
あれは……!
「赤髪のシャンクスだァ!!!」
海兵たちが後ずさる。
シャンクスはコビーのそばに落ちていた麦わら帽子を拾い上げた。
「この戦争を終わらせにきた!!!」