第9章 地獄の終わり
「エースの弟を守れェ!!!」「エースの家族はおれ達の家族だァ!!!」
「白ひげ海賊団……!」
船員達がリラと共にルフィ達の前に立った。
「おどきィジンベエ〜〜!!!麦わらボーイに手出しはさせナ〜ブル!!!」
「イワンコフ……!?」
ルフィにはたくさんの味方がいた。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
ビリビリビリ、と振動がきた。
「何!?」
戦争の騒ぎの中でごちゃごちゃになっている声を辛うじて拾う。
「グラグラの実と……ヤミヤミの実……ティーチが2つの悪魔の実を手に入れたですって……?」
リラは慌てて広場へ戻った。何か嫌な予感がする。
リラが戻ると、ティーチが「マリンフォードでも沈めていこう」と言っていたところだった。そこへ──
「要塞なら……また建て直せばいい……」
センゴクの衝撃波が襲った。
「しかし……ここは世界のほぼ中心に位置する島マリンフォード。悪党どもの横行を恐れる世界中の人々にとっては──」
センゴクの怒りが頂点に達する。
「ここに我々がいることに意味があるのだ!!!仁義という名の“正義”は滅びん!!!軽々しくここを沈めるなどと口にするな青二才がァ!!!!」
そしてギリギリのところで逃げ切ったルフィ達。
白ひげ海賊団総出で赤犬を止める。
ルフィとジンベエをバギーが受け止め、海軍は黒ひげ海賊団と白ひげ海賊団を追いかける。戦争はもう敵味方混じっての混戦になっていた──
「海賊どもを追い込めェ!!!」「最後の1人まで叩き潰せェ〜!!!」
……!!!
リラは戸惑っていた。士気が下がらないのだ。目的を果たしたはずの海軍の方が、明らかに激しく──
「……何が違うのよ」
リラはひとりごちた。
「正義も悪も何も違わない。勝ってなお──渇くばかりじゃない」
その呟きは、戦場の怒号に埋もれて消えた。