第7章 頂上戦争
「……当時 我々は目を皿にして探したのだ。ある島に、ある男の子供がいるかも知れない、微かな情報と、その可能性だけを頼りに。生まれたての子供、生まれてくる子供、そして母親達を隈なく調べたが見つからない。……それもそのはず……お前の出生には、母親が命を懸けた母の意地ともいえるトリックがあったのだ……!それは我々の目を……いや……世界の目を欺いた!」
リラは息を飲んだ。
「“南の海”にバテリラという島がある、母の名はポートガス・D・ルージュ。女は我々の頭にある常識を遙かに超えて、子を想う一心で実に20ヵ月もの間、子を腹に宿していたのだ!……そしてお前を生むと同時に力尽き果て……その場で命を落とした」
……嫌な予感がする。
前に会った時にエースが言っていた『鬼の子』という言葉。そしてあの“もしも”シリーズ。まさか──
「父親の死から1年3ヶ月を経て……世界最大の悪の血を引いて生まれてきた子供……それがお前だ」
もう……やめてセンゴクさん。
もうそれ以上聞きたくない。
「知らんわけではあるまい……!お前の父親は!!“海賊王”ゴールド・ロジャーだ!!!」
海兵たちは皆ざわめいた。いつもは任務中に感情を出さないスズシロですら、その事実に驚きを隠せないでいた。
「……2年前か……お前が母親の名を名乗り……『スペード海賊団』の船長として、卓抜した力と速度でこの海を駆け上がっていった時……我々はようやく気づいたのだ……ロジャーの血が絶えていなかった事に!……だが我々と時を同じくしてそれに気づいた白ひげは、お前を次の“海賊王”に育て上げるべく、かつてのライバルの息子を自分の船に乗せた……!」
その言葉にエースは、傍目にも分かるほど闇雲に反発した。
「違う!!おれがオヤジを“海賊王”にする為にあの船に……」
「そう思ってるのはお前だけだ。現に我々が迂闊に手を出せなくなった。お前は白ひげに守られていたんだ!……そして放置すれば必ず海賊時代の頂点に立つ資質を発揮し始める!だからこそ今日ここでお前の首を取る事には大きな意味がある!たとえ白ひげとの全面戦争になろうともだ!!」