第7章 頂上戦争
そして──公開処刑の日が刻々と迫る。
「……今日、か」
リラは空を見上げた。悲しいくらいの青空。
エースは……私が海兵だって知ったらどう思うのかな。雪女なんて、悪魔の実があるこの世界じゃ珍しくはないだろうけど、海兵ということを黙っていたなんてバレたら──
「嫌われるよねぇ……」
リラは大きくため息をついた。
とにかく自分の持ち場に戻ろうと思い、スズシロを捜す。彼とはいつもセットで動かされるのだ。
無事に目的の人物を見つけ、2人で持ち場へ向かう。
「……リラ」
「なに?」
少し先を歩いていたリラは、くるりと後ろを振り返った。スズシロはやけに真面目な顔をしている。
「あんた……本当にいい訳」
「は?」
「火拳には……なにも話してないんでしょ?」
あぁ、とリラは思い立った。つまり、スズシロは自分とエースのことを心配しているのだ。
リラは心配をかけるまいとにっこり笑った。
「平気よ。嫌われたら彼はそれまでの男で私もそれまでの女だったってだけのこと」
「……いつの間にそんな大人な考えをするようになったの?」
「元からよ」
失礼な物言いをするスズシロに、リラはジト目で返した。スズシロはクスクスと笑う。
「まぁ、それならそれでいいんだけどね」
スズシロはまるで妹を見るような目つきでリラを見つめた。リラもクスッと笑う。
「なんか、あんたと話してるとあんたが男だって時々忘れる」
「失礼ね。まぁ願ってもないけど」
2人は緊張感皆無で軽口を叩いた。