第6章 最終日、そして運命は非情に廻り始める
リラはコートを着て、荷物を持って港へ向かった。港ではリラと共に島へ来た海兵たちが出航の支度をしていた。
「リラ中将!」
海兵の1人が気づいた。1人気づくと後はもう連鎖だ。一斉にリラの方を向いて敬礼をする。リラは手振りで敬礼を下ろさせた。
「準備は?」
「はっ、出航準備万端であります!」
「そ、じゃ行こう。ガープさん待ってるし」
そう言って軍艦に乗り込む。リラが乗ったのを確認して海兵たちも乗り込んだ。
「本部に着くまで部屋にいるわ。着いたら呼んでちょうだい」
「はっ、了解いたしました!」
近くにいた海兵の1人にそう言い置く。海兵は生真面目に敬礼した。
部屋に入り、どかっとベッドに倒れ込む。
「……火拳のエース」
リラはボソッと呟いた。
エースが捕まったとなれば公開処刑は免れない。そうなれば白ひげは海軍本部に乗り込んで、何が何でもエース奪還を試みるだろう。それ即ち──白ひげ海賊団と海軍の全面戦争。
ふと、リラはエースのことを思い出した。
『おれの仲間はおれにとっちゃ家族みたいなもんなんだ』
彼はそう言っていた。その声はもう聞けないのだろうか──?
「……出来ることなら、もっと違う形で──」