第5章 3日目
「嫌われるのが怖い」
そういったリラの肩は小刻みに震えていた。やがてリラはふっと自嘲的に笑い、「不思議よね」と呟いた。
「出会った頃はあなたの事警戒してたのに。今はもう、誰よりも信頼できる人になってる」
リラは海を眺め、遠い目をした。そしてエースに向き直る。
「今はまだ話せない。嫌われるのが怖いし、──まだその時じゃないから」
「その時って……」
「あなた、黒ひげ──ティーチを追っているんでしょう?」
断言の口調に、逆に反論できなかった。
「大方、白ひげの船で何かやらかして、その後始末であなたが捜しにきているといった感じかしら。違う?」
彼女の言っている事は大体合っている。だからこそ、疑問を払えなかった。
「何でお前がそんなことまで知ってんだよ」
問う口調は無意識のうちに棘が含まれた。だがリラはそんな事は気にしないかのように言った。
「んー、まぁ私情報通だからね」
だからと言ってそこまで事情を知っているなんて、いくら情報通とはいえおかしい。