第5章 3日目
「情報通だからってそこまで知ってるかよ」
「そーゆーもんなの。変に詮索しないの」
エースの疑問もさらりと流すリラ。
「ほら、お祭り終わっちゃうわよ。行ってきなよ」
ニコッと笑ってエースを送り出すリラに押され、エースはやや納得のいかないまま祭りへ戻った。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「ふうぅ……」
リラはエースが祭りへ戻ったのを見届けた後、大きくため息をついた。
さすがにここまで隠してたら不審がられても仕方ない……か。
でもまだ話せない。いつかバレるとしても──今はまだ、何も知らないエースと私でいたいから。
もう少し……もう少しだけ、この幸せに浸らせて。もう二度と会えないかもしれないから。
「雪なんて……いい思い出1つもないのに」
不思議よね。あなたが雪を見て喜んでいるだけなのに私の中の嫌な思い出がいい思い出に書き換わるの。
いつの間にかこんなに好きになってた。いつから?
『名前が綺麗』と言われた時?『笑ったほうがいい』と言われた時?──ううん、違う。
きっと、出会った頃から──あなたに惹かれてた。
火拳のエース。
あなたは私の氷の心を溶かす唯一の男。
──愛してる。