第5章 3日目
子供達の作った雪玉に、リラが魔法をかけて雪だるまにした。
悪魔の実の能力者でもないようだから、この魔法は一体何なのだろうか。
「リラちゃんも大変ねェ。子供の世話までしてもらっちゃって。仕事もあるのに」
「いえ。今は一応休暇ですし、この近くにもちょうど用があったから」
「でもリラちゃんがいてくれて助かるわァ。面倒見もいいし、頼り甲斐があるってものよね」
「それはどうも。じゃ、仕事まだあるのでお先に」
リラはやんわりと話を切り上げ、エースのところへ戻ってきた。肩回しをしたり、首を回したりしている。
「……つっかれたぁ」
「この後祭りなのか?」
「そうよ。でも後一時間くらいあるわ。家に帰っとく?」
リラに訊かれて、エースは考え込んだ。
「……いや、いいよ」
「寒いわよ?」
「もう少し……雪を見たい」
エースの言葉が意外だったのか、リラは目を瞬いた。
「雪なんて見て……何になるの?」
「おれは南の島で生まれたからな。雪は少し珍しいんだ」
「へえ」
リラは軽い相づちで流した。リラにとって雪とは──辛いものだから。
小さい頃は、自分の意思とは関係なく人を傷つけていた。
今は、気を抜いてしまうと人を傷つける。
それが誰であろうと。家族であろうと友人であろうと、──愛する人であろうとも。