第4章 2日目
ふと、リラは気づいた。
「……そういえば、名前教えてなかったわね」
「そういやそうだな。すっかり忘れてた」
2人してドジな話である。
「私の名前はリラよ。覚えといてね」
「リラか。いい名前だな」
「そう?」
リラはくるりと後ろを向き、紫色の花──ライラックを見つめた。
「私の名前ね、ライラックから来てるの」
「ライラック?ってこの花か」
エースもリラが見ているライラックを見つめる。
「そう。ライラックは別名リラとも言うのよ」
「花の名前か。綺麗じゃねェか」
「ありがと」
綺麗……ね。
あなたは私の本当の姿を知ってもなお、そう言ってくれるのかしら……?