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(R18) Lv.5 (HQ)

第1章  Lv.5




「ただし、条件がある」



 ある意味覚悟はできていた。
 ほらやっぱり、そう思う。

 うまい話には裏があるのだ。

 都内の一等地に店を構えるダンスショークラブ。外観を見ただけでも箱の大きさが窺えるようだし、客単価もさぞお高いのでしょう。

 そんな高級クラブにだ。
 美男子店長曰く「芋っ子」の私が、手放しで雇ってもらえるワケがない。

 求められる条件は、たぶん内臓とか、内臓とか。踊れることを除いた私の価値なんてそれくらいだ。

 きっとこんな風に言われるのだろう。
 うちで踊らせてやる代わりに、使えなくなったらお前を切り刻んで売り飛──




「鉄朗と同居すること」




「──……え?」
 世界が、一時停止した。

 唖然として。
 呆然として。

 ぱちくりと二回、たっぷり時間をかけて瞬きをしたあたりで、テツローさんが大きな声を出す。


「はァァ?! ちょ、何、なんでそうなるんだよ及川!」

「さん、ね、及川さん」

「……っ及、川、さん」


 自身の発言に噛みついたテツローさんをピシャリと一蹴して店長は、──及川さんは、唇で下弦の月を描いた。


「たしかに彼女のダンスは魅力的」


 流れる水のように滑りだす言葉。
 こちらに歩み寄って、おもむろに私のボディラインを撫ではじめる彼。

「…………!!?」
 混乱している私のことなど気にも留めないといった様子で、及川さんの言葉は続いていく。

「なのに、何? この身体」


 胸を鷲掴みにして「全然ダメ」
 ウエストを摘んで「不合格」
 ヒップを叩きつつ「色気ゼロ!」


「こんな芋っ子、うちのステージにあげる訳にはいかないね」

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