• テキストサイズ

(R18) Lv.5 (HQ)

第1章  Lv.5



「おお! 上手いじゃん!」
 そう褒めてくれたのは、テツローさんのスマホを覗きこむ王子ルックスの彼だった。


「こりゃ鉄朗が惹かれるワケだべな」


 優しさが咲くような笑み。
 スガちゃんさんは天使なのかな。天使でしかないね。敬意をこめてスガさんと呼ぼうそうしよう。


「ただの従業員探しデス。惹かれるとか気色悪いからやめてクダサイ」


 おのれテツローさん。
 さっきからちょいちょい私をディスってくるのは何なのか。お口が悪いのか。悪いのは目付きだけにしてください。



「──……ふうん」



 ピリ、と空気が張りつめた。

 途端に全員が息を呑む。
 テツローさんも、スガさんも、そして私も、ぴたりと動きを止めて店長の反応を待つ。

 無条件で周囲を黙らせてしまうような、威圧感。彼はそれを生まれながらにして持っているかのようだった。


「ま、いいんじゃない?」

 言いながら私を一瞥する。
 美しくて、強かな、瞳。

「いいよ、うちで雇ったげる」


 店長の言葉を受けて、テツローさんが安堵したように溜息をついた。スガさんは「よかったな鉄朗!」と天使のスマイルを見せている。


 私は、ただただ、ポカンとして。


 ひょんなことから決まった新しい居場所。彼らの様子から察すると、従業員が枯渇しているのは明白だ。

 だからこそ動画(盗撮)からのスカウトだったり、オーディションもなしでの雇用が実現している。それだけ切迫しているのだろう。それは私にも理解できる。

 だけど、なんていうか──

 なんだろうこの違和感。
 あまりにもトントン拍子に話が進みすぎて、どうにも気味が悪い。


【うまい話には裏がある】


 そんな言葉が、脳裏を過って。

/ 41ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp