• テキストサイズ

(R18) Lv.5 (HQ)

第1章  Lv.5




「っあ、ちょ、んもー!押さないでよスガちゃん! 一体何だっていうのさ!」



 先ほど部屋を出ていった王子ルックスの彼が、華のある声を連れてくる。

 開かれたドアの向こう。
 姿を現したのは、絶世の──


「……え、うわ、何この芋っ子」


 超がつくほどド失礼な絶世の美男子だった。芋とはなんだ、芋とは。

 まさに踏んだり蹴ったりである。

 私を芋呼ばわりした美男子は、どうやら彼こそが店長その人らしかった。

 店長と呼ぶには若すぎる気もするけれど、よくよく見れば身に纏っているのは高級ブランドスーツ。

 時計やラペルピンにはもれなく宝石がついているし、なるほど、店長というのは本当らしい。


「で、鉄朗はこの子をうちにスカウトしたいんだ? どうして?」


 鏡台に腰掛けつつ美男子店長が問い、テツローさんが答えた。「俺、こいつのダンス見たことあるんスよ」二人の会話はつづく。


「じゃあお前たちは顔見知り?」

「いや、俺が一方的に。こいつよく近所の公園で踊ってて、ほら、動画も」


 ち ょ っ と 待 て

 動画とはどういうことなのか。大事なことなのでもう一度言いましょう。動画とは一体、どういう、ことなのか。

 上京後も毎日欠かさなかった自主練。
 それを、ご近所にお住まいのテツローさん(おそらく20代)に目撃されていたのは良いとして。

 動画に撮るだなんて、それじゃまるで盗撮だ。その目付きの悪さも手伝ってか、テツローさんがただの犯罪者にしか見えない怖い。

/ 41ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp