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(R18) Lv.5 (HQ)

第3章  Lv.12



 お気に入り、なのだろうか。

 私は、彼の。
 鉄朗さんの。

 たしかにスカウトしてくれたのは彼だし、なんやかや言いながらも面倒を見てもらってる。

 食事に、美容室。
 新しい洋服や靴も、この街で生きていくために必要な物を用意してくれたのは彼だ。

 だけどそれは、私を及川さんのお眼鏡に適う「立派なレディ」にするためで。

 今日のショーケース。
 観ていて、知った。

 トップダンサーのサエコさんという人が怪我で休養していること。寿退社ならぬ寿引退するダンサーが今月だけで三人もいること。

 そして、お店のオープン五周年を記念した新しいショーを準備していること。MCも兼ねているスガさんがそう言っていた。

 私はそのための人員なのだ。
 新しいショーの、足りないポジションを埋めるための。

 私は、きっと、鉄朗さんにとって『舞台の一部』でしかないのだと思う。

 ステージを構成する要素。
 音楽に、照明に、ダンサー。

 そのなかのひとつ。
 ひとりの女性としてじゃない。

 でも、それでも。

 たとえ多数の内のひとつだったとしても、そのなかで、他より少しだけ彼に「お気に入り」と思ってもらえていたら、嬉しい。

 そう、思うのだ。

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