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(R18) Lv.5 (HQ)

第3章  Lv.12



 一体なんだっていうのか。

 そうまでして私を抱こうとする彼が分からない。恋焦がれる気持ちだとか、淡い感情を育む時間だとか、そういうの、彼には必要ないのだろうか。

 離れていても分かるほど強い輝きをもつ瞳が、私を見ている。虹彩の金。

 間近で見ると、その迫力に吸いこまれてしまいそうで。

 捕まる、視線。
 目を逸らすことができない。


「あー……そうそう、その顔だよ」

「……っ、?」

「怯えた小動物みてえな、その顔。さっき初めて俺を見たときもそんな顔してたろ、お前」


 光太郎が私に抱いた執着心。

 そのきっかけを淡々と吐露する彼の声音は低く、触れてしまいそうなほど近い唇からは熱い吐息。

「すげえそそる、──食っちまいたい」
 恋焦がれる気持ちだとか、淡い感情を育む時間だとか、彼に必要なのはそういうことではなくて。

 私を蹂躙しようとする彼のそれは本能だった。自分は相手より絶対的に優位なのだと、無意識に自覚している者が持つ本能。

 男女間に生まれる性的欲求じゃない。
 これは強者が弱者を食らう捕食、だ。


「っひ、ぁ、……っ!」


 ぞわりと身の毛がよだった。

 ライオンに命を掌握されるシマウマはこんな気持ちなのかな、なんて、どうでもいい考えが頭に浮かぶ。

 乱され寛げられた胸元。
 露わになった首筋に彼の犬歯が刺さるのを感じて、全身が緊張したように硬くなった。

 強張る身体に加え、唇は戦慄いて。

 まさしく彼が言うところの「怯えた小動物」を体現してしまっていることに気づき、諦めたようにして脱力する。



「はーいそこまでー」



 脱力して、直後だった。

 突如響いた声。
 小さいはずなのに、よく通る。

「休憩とっくに終わってんぞガキ共」
 鉄朗さんが、そこに立っていた。

 それはそれは怖ーい顔をして、楽屋の入口に、身体をもたれかけさせて。

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