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(R18) Lv.5 (HQ)

第1章  Lv.5



 髪から爪先まで黒一色の男性に連れられて、否、荷物のごとく担がれて繁華街を行く。

 丘を意味する高層オフィスビルが代名詞のこの街。あちこちがキラキラと眩しいのは、きっと冬のせい。


「……あ、あの、どこへ向かってるんでしょうか」


 なるべくそっと問うてみたが返事はなかった。代わりに「喋る元気があんなら歩けよ」と脅される。しかし、決して降ろそうとはしない彼。

 善意なのか。
 悪意なのか。

 動機も、素性も、彼のことを何一切知らぬまま、辿りついた先はとあるダンスショークラブだった。


(え、なんで、ショーパブ……?)


 疑問に思ったのも束の間。

 男性は店舗入口を通りすぎて【private】と書かれたドアを蹴破ってしまった。なんたるバイオレンス。

「っうえ、ふ!」
 ほっぽり投げられて一回転する世界。貴族が座るようなベロア生地のソファにどさりと背中が埋まって、直後だった。



「っわ、え、何その子?!」



 どこからともなく、砂糖みたいに甘やかな声。もそもそと身体を起こして声の出どころを探すと、そこには今度こそ本当に、王子さまがいた。

 雪のように白く美しい肌。印象的な涙ぼくろ。嫋やかになびく髪はまるで星空のような銀色だ。

 怖面の王子(仮)とは大違いである。


「ハンバーガー屋の前でブッ倒れてた」

「へ? ハンバーガー?」

「あ、あのさスガちゃん、ちょっと店長呼んできてくんね?」

「唐突! お前ほんと色々唐突な!」


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