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(R18) Lv.5 (HQ)

第1章  Lv.5



 ドンッ!と音がして星が舞う。

 それは漫画的な表現のお星さまピヨピヨなのではなくて、実際の夜空だった。夜なのに明るい空。小さな星が点々と。

 ありていに言えば、私は倒れたのだ。


「…………痛い」


 仰向けにひっくり返ったまま、ぼやくようにして独りごちる。お腹が空いて元気がでない。立ちあがる気も起きない。

 道行くギャルたちが私を見る。
 まあ冷ややかな目で見てくる。

 やめろ、そんな目で私を見るな。

 写メを撮るな写メを。
 やめなさい消しなさい。

 そんなことを延々心中でごちていた。
 声を出すことすらままならなかった。

 思えばまともな食事も、睡眠も、もう随分長いこと摂ってない。そりゃ倒れもするか、と納得して目を閉じる。

 意識が、徐々に遠くなって──





「……い、おいって、大丈夫か?」





 突如、ペチペチと頬を叩かれた。

 痛みのおかげで戻ってくる意識。
 鼻腔をくすぐる香りは、香水だろうか。なんだかすごくいい匂いがする。


「こんなとこで寝てたら危ねえぞー」


 それにこの声。
 ものすごくイケメンな声。

 人間が冷たいと噂の首都トーキョーでこうして私を救おうとしてくれているのだ。きっとどこぞのジェントルマンに違いない。

 目を覚ませばそこには王子さまの微笑。そして、ラブストーリーは突然に。

 そんな少女漫画的な展開を期待して、私は、ゆっくりと目を開けた。





「──え、顔怖っ」

「ド失礼かてめえ」






 これがカレとワタシの出会いである。
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