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(R18) Lv.5 (HQ)

第2章  Lv.7



 すごく、見られている。

 既に客入れの始まった店内。
 初出勤とはいえ、まだ正式なダンサーではない私は、鉄朗さんの下についてバーカウンターのお手伝いをすることになっているのだけれど。

 とても、見られているのだ。

 派手な銀髪の彼、光太郎くんに。
 このままじゃ穴が空いてしまう。

「え、っと、……光太郎くん」
 カクテルグラスを磨きながら、おずおずと彼を呼んだ。

「ん!? 何!?」
 光よりも速く返される低くて大きな声。作りかけのスローテキーラ。彼もこの店のバーテンダーのひとりなのだ。


「私の顔になにか付いてる……?」

「え? なんも付いてねーよ?」

「じゃあ、なに……?」

「は? なにって何が?」


 んんん会話にならない!

 何なの、天然さんなの?
 それともお馬鹿さ、……いやこれ以上は言うまい。

 私は気を取り直して、再度問うた。


「ずっとこっちを見てるから、……その、私になにか用なのかなと思って」


 すると、彼はそのまん丸な瞳を更に丸くして「ああ! そういうこと!」と拳で手のひらを打つ。どうやら合点がいったらしい。


「かわいい子だなあ、と思って!」

「……え?」

「や、だから、かわいい顔してんなって思って見てたの。あっ、もしかしてイヤだった!?」

「……ううん、嫌とかではないけど」

「そっか! じゃあ良かった!」


 どうにも噛み合わない、と思う。
 光太郎くんとは会話の間が合わない。

 彼は勢いよく言葉を放つから気圧されてしまうし、あと、なんていうか。なんだろう。この感覚。

 こういうの、なんて言うんだっけ。


「光太郎でいいよ」

「へ?」

「俺のこと呼ぶとき、光太郎くんじゃなくて。俺も愛莉って呼んでいい?」


 ああ、そっか。

 ペースを狂わされる、だ。

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