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(R18) Lv.5 (HQ)

第2章  Lv.7




「飲まねえのか? 冷めんぞ、それ」


 ネガティブな思考から抜け出せなくなっていた意識が、またも彼の声に引っ張りあげられて浮上する。

 いつの間にか対面に腰掛けていた彼の、ラテのクリームが少しだけ付いた唇を見て、すぐにまた視線を逸らした。

「っ、あの、お代は」
 深緑色のトレーを見つめたまま、辿々しく紡ぐ言葉。

 直後、鉄朗さんが呆れたように笑んだ気配がして、チラリと視線だけを動かして彼を窺い見た。


「ガキに払わせるほど困ってねえよ」

「……です、よね、すみません」

「でも、そうだな、じゃあ寿司がいい」

「……? お寿司、ですか?」


 彼がなにを言わんとしているのか分からなくて首を傾げると、返ってきたのは悪戯な企み顔。

「お前の初給料、楽しみにしてっから」
 なんとも意地悪な声音でそう言ってみせて、彼は無糖のラテをまたひと口。

 そっと啜って。
 ぎゅっと眉根を寄せて。

 不機嫌そうに「熱っ」だなんて舌先を出す仕草。どうやら猫舌らしいということが分かって、またひとつ、彼を知った気がした。

 彼を知れば知るほど、じわじわと、息ができなくなっていくような。

 そんな気がするけれど、今は、まだ。
 気付かない振りをしておこうと思う。


「お寿司って回「らない寿司」

「回るほうの「回らないほう」

「あの、私の微々たるお給金ではそのようなお店には「回 ら な い や つ」……ハイヨロコンデー」


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