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(R18) Lv.5 (HQ)

第1章  Lv.5



 とにもかくにもお腹が空いていた。

 謂わばもう餓死寸前だ。
 なんで、どうしてこんなことに。

 往来の激しい道路にぽつねんと立ち尽くす。夢に溢れていたはずのトーキョー暮らしは、もはや生き地獄へと変貌を遂げていた。

 やっとの思いで掴みとったダンサーの夢は露と消え、いや、ていうか所属するはずだった事務所が潰れちゃったんだけど、要するに私は現在無職である。


 しかも、だ。


 運命のイタズラか、私の不幸体質がなせる技なのか。

 入居先のアパートが火事で焼け、住む場所まで失ってしまった。派遣のバイトをしながらのネカフェ暮らしも、そろそろ精神衛生的に限界。

 もはや実家に帰るしか道はない。

 一度はそう思った。
 思った、のだけれども、尻尾を巻いて帰るわけにもいかないのが現実である。

 実家の旅館を継げといって引かない両親。連日続いた大喧嘩の末、制止を振りきって決行した上京。

 ひとりでも立派に生きていけます!
 そんな大見得まで切って上京したのだから、これしきのことで帰るわけにはいかないのだ。



「……でも、お腹、空いたなあ」



 ぐう、と胃のあたりで虫が鳴く。

 少しだけ残ったお財布の中身は、帰省するのにギリギリの金額だ。最終電車にも、今ならまだ間に合う。

 意地をとるか。
 安寧をとるか。

 迫られる人生の二択。

 Mが特徴的なファストフード店の前、悶々と悩んでいた私に【運命】が声をかけてきたのは、このわずか数分後のことだった。

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