• テキストサイズ

(R18) Lv.5 (HQ)

第1章  Lv.5



 どくん、どくん。
 心臓が強く拍動している。

 あたりを見回して、見回して。見えたダイニングテーブルの上になにも置かれていないのを確認して。

「……やっぱり夢、か」
 ぼそりと独り呟いた。




「随分とVIPなお目覚めだな芋女」




 瞬間、弾かれる意識。

 ぐるんと首を回して声のほうを見やる。バスルームへと続いているドア。上半身裸でこちらを睨む、眼鏡姿の鉄朗さんがそこにいた。

 黒いセルフレームの眼鏡。
 夢で見たのと、同じ。

「……夢じゃ、なかったんだ」
 小さく小さく溢したその言葉が、鉄朗さんの耳に届くことはなかった。


「ったく、今何時だと思ってんだ」


 少し呆れたように言いつつ、私との間合いを詰める彼。

 手を伸ばせば触れられる位置まで近づいたとき、ふわと香った匂いに出会いの瞬間がフラッシュバックする。

 ああ、そうだ。

 あのときもこうして、鉄朗さんの腕に抱かれて倒れてたんだっけ。相変わらずいい香り、って、──んんん!!?


「なっ、え、ちょ、鉄朗さん!?」


 異変を察知したときにはもう、手遅れだった。組み敷かれたのだ。ソファと鉄朗さんとに挟まれて身動きが取れない。

 突然のことにパニックを起こす私。

 視線をあちこちに泳がせてアワアワと抵抗を試みる。試みたのだけれど、それが彼に通用するはずもなくて。

/ 41ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp