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(R18) Lv.5 (HQ)

第1章  Lv.5




「立派なレディになるんだろ?」


 キャミソールのなかに滑りこんでくる熱。彼の指先。男らしく骨張った手。

 つ、と腹部を縦になぞられて「……どこから教えてほしい?」色付いた声で問いかけられる。


「ここからにしようか」

 花に向かって降ろされていく指が。
 おへその下辺りを、ぐぐと押して。

「それとも、──こっち?」


 ボンッ!と顔が火を噴いた。
 そういう俳優が涙目になるほど色っぽい鉄朗さんに当てられて、私の私が臨界点を突破である。

 蕩けてしまいそうになる頰を必死で抑えて「いいいいけませんそんなこと! 私たちまだ知り合ったばかりですし!」とかなんとか。

 叫んで、刹那のことだ。


 ビタンッ
「痛あっ!!!」


 おでこに貼りつけられた紙。

 何かと思って剥がしてみれば、それは長々と書き連ねられたトレーニングメニューだった。


「まずはその色気のねえウエストをどうにかしろ。メニュー1、腹筋50回3セットだ、早くやれ」


 ソファから引きずり降ろされて、がっちりと押さえこまれる両脚。

 夢だけど夢じゃなかった彼が夜な夜な書いていたのは、どうやらこれだったらしい。優に100を越えているトレーニングメニューの数々。

 こんなに大量のメニュー、もしかして、いや、もしかしなくても毎日こなすのだろう。考えただけで筋肉痛だ。

 まだ頰を火照らせたまま茫然としている私に、鉄朗さんは、意地悪に笑んでみせてこう言葉を放つ。



「もしかして、お兄さんとイイコトできるって期待しちゃった?」




「〜〜〜〜〜!」
 なにも言い返せない悔しさと悔しさと、あと悔しさで声すら出ない。

 ひょんなことから始まった彼との同居生活。この出会いがもたらすのは幸か不幸か、果たして──

 私たちの色濃く目まぐるしい一週間は、まだ始まったばかりだ。





 つづく

「……っ鉄朗さんのばか!」
「騙されたお前がな」
「〜〜〜〜〜! 悔しい!」
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