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(R18) Lv.5 (HQ)

第1章  Lv.5




(鉄朗さんて、……芋フェチなのかな)


 瞼を閉じつつ考えていたら、思考がおかしなところに着地した。芋フェチとは一体何なのか。

 しかし、耐えがたい眠気に襲われている私にもはや判断能力はない。

 鉄朗さん=芋フェチという、いい感じにカオスな等式が脳内で成立したまま、眠りの底へと沈んでいく。


(明日の朝ごはんも、きっと芋だな)


 そんな支離滅裂な言葉が浮かんだのを最後に、私は自ら意識を手放した。






 こんな夢を見た。

 最愛の百合に巡りあいを果たす文豪のそれではない。私と、鉄朗さんのおはなしである。

 彼の部屋、薄明かりの灯る。
 木製の椅子に腰掛けダイニングテーブルに向かう人影が見えた。ぼんやりとだが、それはたしかに彼だった。

 ひとり俯き、頬杖をつく彼。ペンを走らせる音。ひどく心地いい音に思えた。傍らで煌めく、ウィスキーの琥珀色。


「──ワリィ、起こしちまったか?」


 言いながら顔をあげた彼は眼鏡をかけていた。まるで別人のように見えた。私の知っている彼はもっと粗暴で、ガサツで意地悪で、なのに。

 なのに夢のなかの彼は。
 夢で見てしまった彼は、すごく。

 すごく、優しそうで。
 どことなく、儚げで。






「………──っ!」

 パチン、と泡沫の夢が割れる。

 視界に飛びこんでくるのは白。
 思わず目を細めたくなるくらいの白は他でもない。眩ゆい陽光に照らされた、実物の、彼の部屋の天井だった。

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